巨人との戦いの歴史 8 ~ループ説を支持したくなる理由

『進撃の巨人』の物語というのは、ループしていて、実は何度も巨人と同じ(ような)戦いを繰り返している…、という「進撃の巨人 ループ説」は開始当初よりありました。

しかし、物語が進むうちに、それはないかな?というのが、みなさんの実感でしょう。
ループや誰かの見ていた夢だったパターンというのは、使いたいトリックですが、もうすでに前例があるので、どうしても“パクリ感”はいなめません。

誰かの見ていた夢パターンで有名なのは、『ハイスクール 奇面組』です。
※話が古くてすみません…。





この奇妙キテレツな話は、ヒロインの「河川唯(かわゆい)」が、中学校の休み時間にふと見ていた白昼夢というオチで終わりました。
当時は、けっこう斬新でしたが、評判はよくはありませんでした。

おそらく、他のアニメでも似たような感じのものはあるのでしょう。


ループの方が、難易度が高いので、評価の高いものが多いです。
その代表的な作品が『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』です。これは、“攻殻機動隊”の押井守氏の監督作品で、うる星やつらファンからは不評でしたが、アニメ作品としての出来は、あの時代のナンバー1クラスかもしれません。






最近の作品では、『シュタインズ・ゲート』でしょう。こちらは、元々ゲームから派生したアニメということですが、ゲームのスピード感+アニメの物語性がうまくマッチしていて、とてもレベルの高い作品になっています。
ループを使うなら、これくらい大胆に使いこなさなくてはおもしろみがない、という素晴らしい作品です。





というような状況の中、目の肥えたアニメファンの前に、安易に「ループ」を持って来るとは、にわかには思えません。

しかし、もしかしてループ?と思いたくなる場面がいくつかあります。


1 二千年後の君へ

第1話のタイトル「二千年後の君へ」。これはもう、初めから何かを仕掛けていると考える方が当たり前でしょう。
時間軸として、「その時」があり、「二千年後」の世界がある。そして、「その時」と「二千年後」は、何らかのかたちでつながっている…と考えるのが妥当でしょう。

また、「君へ」と言っているので、真相を知っている「僕(アルミン?)」が、2人称の相手に向かって語っている物語と考えるのが普通です。

ただ、この「君」がこの物語を見ている者全体を指しているのか、物語中に出てくる人物(エレン?)を指して言っているのかは、これは定かではありません。


2 初めのシーン

第1話 冒頭のシーンは、あきらかにループをにおわせている感じがします。











ただ、これをもって「ループ」とするのは、早計かもしれません。
エレンがただ単に嫌な夢をみていただけで、実際の出来事であるとは限りません。

エレンは、この時もう調査兵団に入りたい意志がありました。ということは、調査兵団や巨人のことについて、少なからず知識はあるはずです。
それが少年期特有の妄想と重なって、悪夢となったと考えても、別に支障はなさそうです。

確かに、思わせぶりなシーンかもしれませんが、見ている側が勝手に解釈するのは、制作サイドとしては、いっこうにかまわないわけですから。
まぁ、そうだとしたら、ちょとズルイですけどね…。


3 グリシャはいつエレンに注射を打った?



グリシャが内地(2つ上の地区?)へ診察中にシガンシナ陥落

エレン・ミカサ・アルミンらは船で避難

エレンがグリシャに注射を打たれる(?)→ 夢?

エレン、目を覚まし「父さんと会ってた気がする」
ミカサ「それは夢だよ」

エレンの目が覚めた時には、首から鍵がかかっている


【逃げたの夕方頃だし、脱出口は一つだから
夕方以降から明け方までに会える可能性は低くないと思う】

※参照 【進撃の巨人】エレンが注射されたタイミングっていつなの?


グリシャがエレンに会えるという時間的可能性は否定しません。しかし、それだとグリシャが「失踪者」となる展開と合致しないと思うのです。

また、エレンの傍を片時も離れないミカサが、グリシャとエレンの接触に気づかないはずもなく、ミカサやアルミンのいないところで、親子二人きりになったとは、ちょっと考えづらいです。

となると、一番合点がいくのは、ループやパラレル世界です。

今回は会っていないけど、前回のループ世界でグリシャとエレンは会っていて、これはその時の出来事の記憶ということです。
また、記憶だけでなく事象も伴うので、エレンの首から地下室の鍵がかかっていても、なんら不思議はありません。

このエレンの注射が、この物語の最大の謎ですね。

※ただし、 コミック版のこの「注射のエピソード」 の場合、まずまず時系列に矛盾は感じられません。
いったい、どういうことでしょうか??


※参照



4 地下室にこだわる理由は?

ゲーム性をもった漫画のパターンとしては、 地下室へ行って→最初にループ という感じでしょうね。

地下室には、机が1つだけあって、その上にぽつんとノートか手紙が置かれている。
それを開くと、

「エレン、君がこれを見ているということは、今回も計画はうまくいかなかったということだね。

残念だよ、また、あれを繰り返さねばならないとは…」

という感じで、第1話に戻ってしまうというわけです。

上のメモの想定としては、グリシャが獣の巨人の側で、エレンを巨人化させ、なんらかの力で「異世界の扉」をエレン巨人に開かせる。しかし、その結果、エレンは息絶え、地下室にたどり着くことができない。そのまま時は流れるが、それが世界を良いほうへ導いていることになる。

エレンが地下室へたどり着くということは、世界を変えることを失敗しているという意味で、そうなると何度もやり直す必要がある。…まぁ、こんな感じでしょうか。


あとは、エヴァの酷い?終わり方のように、地下室の扉を開けたら、グリシャ・アルミン・ミカサ・アニなど、みんなが「おめでとう」と、エレンに言う…なんてのは、さすがに却下でしょうね。


5 表紙やオープンニング

コミックの表紙やオープニングの絵が、ループ(というか、パラレル的なループ)を表現しているという考察がありました。

【進撃の巨人】ループ説がガチなら分岐点はエレンの金具破損時かな?

本編とは、ほんの少しズレたループ世界を、コミックの表紙やオープニングの絵の中で描いているという考察です。

着想としては素晴らしいのでしょうが、正直「う~ん」ですね。

この程度のものですと、作者(制作者)の遊び心で、単に「ここはこうでなくて、こうなっていたら、次の展開はこうなるだろうな」というくらいのものを描いているのだと思うのです。


・アニが容赦なく、アルミンたちと闘っていたら?
・エレンが、女型巨人が現れた時、すぐに巨人化していたら?

というくらいの、もしもこの時こうなら、こうなるだろうね、というシーンを描いているにすぎないと思うのです。

っていうか、作品中でなく“外野”で、ループのネタばれみたいなのって、ズルくないですか?




巨人との戦いの歴史 7 > 8 

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